Gin Johannes Studio

建築家 ジン・ヨハネスの『いちごの(フレイバー)カフェ』


4. Cafe Talk

竹山実先生の退官記念パーティー で
自分の卒業した大学へ最近遊びに行きましたか?
よりによってそれが先生の退官記念になるなんて。それも保坂陽一郎先生ともダブルで。これで一つのムサビの時代が終わったなんて、言うのはたやすいけど、実際のところ数週間経った今でもじわじわきている。パーティー当日は、卒業生の同窓会の様になってしまったが、その数すごい。いろんなパーティーに今まで行ったけど、こんな場所によくもここまで集まったものかと、40年間の竹ちゃんの教員生活の締めくくりとしては竹ちゃんも皆との話題についていくのがいっぱいいっぱいみたいでした。あの記号論と、ポストモダニズムの竹ちゃんがかよ!個人的には視デの教授でグラフィックデザイナーの勝井三雄先生と会えてよかった。あれはちょうどロンドンから帰ったばかりの頃お会いしたのだから、7年ぶりぐらいだろうか。勝井先生の竹山先生記念出版本の装丁や、ポスターデザインの連携がうまくできていて、ただでさえクオリティーに定評のある勝井ワールドが、退官記念に花を添えていたと思う。だがパーティー当日は熱狂的に終えたものの、残された教授陣はどうなるのか?ここを忘れてしまってはやっぱ意味がない。日経の高津とも激しい討論があった。そんななかで長谷川尭は相変わらず背が高く、ああいう場所でよく目立つ先生だが、最近刊行されたムサビ関連の冊子で勢いあまってこんなことを書いている。「建築は芸術か否かをめぐって、、、これが芸術だと言わんばかりの奇矯な形や空間をもつ建物をどんどん発表しろ、というのではない。(そうか?筆者)工学部系の建築家たちには思いつかないディテールや姿をもつ建築を造って、そのすばらしさを人々に納得させてもらいたいだけなのだ。武蔵美で学んでいた頃に自分の仲間たちと共有していた表現者としての<熱気>といったものを見る者に感じさせるような設計をして、味も素っ気もない今の建築界に投じて、彼らの目を覚まして欲しい。そうした試みの中で、建築が工学の領域を越えて芸術の世界にたしかに踏み込んでいる・・・、そんな場面に出会いたいのだ。」これを読んで私はしばらく沈黙し、言葉を失った。しかしこの批評もまた現在の中央のメディアに届くのかは疑問だが、少なくともこの言葉の内容に確信し、会話もできなかったほど大勢の友人達を、突き動かすだけのより大きな心理について触れようとしている。そしてそれは身震いするほど様々な人々の様々な経験を集約した言葉の力を驚くほど解き放っている。

12月4日 伊豆のアトリエにて。
Cafe Talk 過去のログ。
  • renzo Oct.2003